「保護者のご意見や、日頃の感謝の声を拾い上げたいけれど、アンケート用紙を配っても、なかなか集まらない…」
「連絡帳だと、保護者もちょっとした気づきや要望を書きづらいかもしれない」
放課後等デイサービスを運営する中で、このようなお悩みはありませんか?
保護者からの声は、事業所をより良くするための大切なヒントです。しかし、紙のアンケートは配布や回収に手間がかかるため、なかなか続けるのは難しいものです。
そこでおすすめなのが、Googleフォームを使った「いつでも送れるご意見・ご要望フォーム」です。
保護者は気づいたときにスマホから送ることができ、回答は自動でGoogleスプレッドシートに保存されるため、管理者も手軽に確認できます。
さらに、ご意見・ご要望のカテゴリをあらかじめ用意しておけば、内容を整理しやすく、後から見返す際にも役立ちます。
この記事では、放課後デイで使いやすいご意見・ご要望フォームの作り方を、前編・後編に分けてご紹介します。
なぜ放課後デイに「いつでも送れるWebご意見箱」が必要なのか?
保護者の声を聞く手段として、多くの施設で行われているのが「年1〜2回の書面アンケート」や「日々の連絡帳」です。
私の子どもも放課後デイに通っていますが、意見や要望を伝える機会は、年に1回程度のアンケートくらいです。
「こうだったらもっと便利なのに」「こんな仕組みがあればいいのに」と思うことがあっても、連絡帳に書くほどではなく、そのままになってしまうこともありました。
しかし、業務の負担や保護者の伝えやすさという視点で見ると、これらの方法にはいくつか課題もあります。
紙のアンケートや連絡帳が抱える「3つの課題」
配布や回収に手間がかかる(紙アンケート)
用紙の印刷、配布、提出の呼びかけ、回収、そして回答内容をExcelへ入力する作業まで、紙のアンケートは意外と手間がかかります。ただでさえ忙しい現場にとって、この作業は大きな負担です。
気づきや改善が遅れやすい(年数回のアンケート)
「実は数か月前から送迎時間が少し気になっていました」と、アンケートで初めて知ることもあります。小さな気づきを早めに共有できる仕組みがあると、改善にもつなげやすくなります。
ちょっとした意見やアイデアを書きづらい(連絡帳)
連絡帳は、毎日の体調や出欠連絡などの事務連絡が中心です。
そのため保護者からすると、「こんな細かいことを書いてもいいのかな」「面倒な親だと思われないかな」と感じてしまい、施設をより良くするためのちょっとした提案ほど、書くのをためらってしまうことがあります。
「わざわざ連絡帳に書くほどではないけれど、伝えておきたいこと」の中には、施設運営をより良くするヒントが隠れていることもあります。
そんなときに便利なのが、いつでもスマホから送れる「Webご意見箱(Googleフォーム)」です。
フォームの印象を左右する「タイトル」の付け方
「24時間いつでも送れる窓口を作ったら、苦情ばかり届くのでは…」
そんな不安を感じる方もいるかもしれません。
もちろん、Googleフォームを設置したからといって、苦情が増えるとは限りません。しかし、フォームのタイトルや説明文の書き方によって、保護者が受ける印象は大きく変わります。
そこで意識したいのが、「どのような目的のフォームなのか」をタイトルで伝えることです。
例えば、「施設をより良くするためのご意見・ご要望を募集しています」という目的が伝われば、保護者も気軽に意見やアイデアを送りやすくなります。
タイトルの❌ NG例と ⭕️ おすすめ例
まずは、タイトルの例を見てみましょう。
❌ NG例
⭕️ おすすめ例
- ご意見・苦情受付フォーム
- ○○デイへの不満・要望窓口
- より良い施設づくりのためのご意見・ご要望フォーム
- ご意見・ご要望フォーム
なぜおすすめしないの?
「苦情」や「不満」という言葉がタイトルに入っていると、不満を伝えるための窓口という印象を与えやすくなります。
保護者が気軽に意見や要望を送れるようにするためにも、前向きな目的が伝わるタイトルを付けるのがおすすめです。
おすすめする理由
「より良い施設づくりのため」と目的を伝えることで、「改善のための意見を伝える場所」ということが分かりやすくなります。
また、「ご意見・ご要望フォーム」という表現は、気づいたことやちょっとした提案も送りやすい印象を与えます。
入力しやすく、集計もしやすい!おすすめの「3つのフォーム項目」
タイトルでフォームの目的が伝わるようにしたら、次は質問項目です。
良かれと思って質問項目を増やしたくなるかもしれません。しかし、項目が増えるほど入力の負担も増え、保護者が途中で入力をやめてしまう原因にもなります。
そこでおすすめなのが、保護者も入力しやすく、管理者も後から集計しやすい次の3項目です。
- 1項目目:お名前[記述式:任意(空欄でもOK)]
- 2項目目:ご意見・ご要望のカテゴリ[ラジオボタン:必須]
- 3項目目:具体的なご意見・ご要望[段落:必須]
「これだけで足りるの?」と思われるかもしれませんが、日常的に運用するのであれば、この3項目だけでも十分活用できます。
保護者にとっては入力しやすく、管理者にとっては集計しやすい。この3項目がおすすめな理由を見ていきましょう。
この3項目がおすすめな2つの理由
① 保護者が文字を入力するのは実質1項目だけ
忙しい保護者がスマホでフォームを開いたとき、入力欄がたくさん並んでいると、「後で入力しよう」と思って、そのまま忘れてしまうこともあります。
この3項目なら、「お名前」は任意、「カテゴリ」は選択するだけなので、保護者が文字を入力するのは実質「具体的なご意見・ご要望」だけです。
匿名でも送れるため、「ちょっと気になったこと」や「こうなるともっと良いな」と感じたことも、伝えやすくなります。
また、入力する項目も少ないため、思いついたときにすぐ送れるのも、このフォームのメリットです。
② データが整理しやすく、後から集計しやすい
後から集計しやすい形でデータを集めることも大切です。
例えば、「送迎についての意見」「イベントについての意見」と質問を細かく分けてしまうと、回答が保存されるスプレッドシートやExcelの列がどんどん増えていきます。
列が増えると、後からパワークエリで読み込んだり、ピボットテーブルで集計したりする際に、データを整理する手間が増えてしまいます。
そこで、「ご意見・ご要望のカテゴリ」を1つ設け、内容はすべて「具体的なご意見・ご要望」にまとめる構成にしておけば、データが縦方向にきれいに積み重なります。
このような形にしておくと、後から集計や分析を行う際も扱いやすくなります。
保護者にとっては入力しやすく、管理者にとっては集計しやすい。
このバランスの良さが、この3項目をおすすめする理由です。
項目が決まったら、次は2項目目の「ご意見・ご要望のカテゴリ」を設定していきます。
カテゴリの内容によって、保護者が選びやすさや回答の集まり方も変わってきます。
次の章では、放課後デイで使いやすいカテゴリの考え方と、おすすめの設定例をご紹介します。
「送迎」や「利用ルール」を上手に取り入れるカテゴリ設定
おすすめの3項目が決まったら、次は2項目目の「ご意見・ご要望のカテゴリ」を設定します。
カテゴリは、後から集計しやすくするだけでなく、保護者がどのような気持ちでフォームを利用するかにも影響する項目です。
放課後デイでは、保護者から寄せられるご意見・ご要望の中でも、「送迎」や「欠席・振替のルール」についての内容は比較的多いのではないでしょうか。
そのため、カテゴリを作る際に「送迎」という項目を独立して用意したくなるかもしれません。
「送迎」を独立したカテゴリにしない理由
送迎は日々の生活に関わる内容のため、要望や相談が集まりやすいテーマです。
そこで、あえて「送迎」というカテゴリを独立させるのではなく、「環境」や「連絡」の説明文に含める形にすると、カテゴリ全体のバランスが取りやすくなります。
おすすめのカテゴリ設定
例えば、次のようなカテゴリがおすすめです。
Googleフォームの説明欄には、次のような補足を書いておくと、保護者にも分かりやすくなります。
内容に近いカテゴリを1つ選択してください。
- 活動:カリキュラムや支援内容、お子さまへの関わり方など
- 行事:イベントや長期休暇のプログラムなど
- 環境:施設内の設備、おやつ、送迎など
- 連絡:連絡帳、お便り、お迎え時の対応、欠席・振替のルールなど
- 応援:職員への感謝や励ましのメッセージなど
- その他:上記以外の内容
このように、「送迎」は「環境」、「欠席」や「振替」は「連絡」の中に含めることで、カテゴリ数を増やしすぎず、シンプルな構成にできます。
カテゴリ名も短く統一しておけば、スプレッドシートやExcelで集計するときにも扱いやすくなります。
また、「1.活動」「2.行事」のようにカテゴリ名の先頭に番号を付けておくのもおすすめです。後でピボットテーブルなどで集計した際に、設定した順番で表示されやすくなり、見やすく管理できます。
「応援」カテゴリを入れるのもおすすめ
もう一つおすすめしたいのが、「応援」というカテゴリを用意することです。
ご意見フォームというと、「改善してほしいことを書く場所」という印象を持たれることがあります。
そこで、「応援」というカテゴリを設けておくと、
- 「いつもありがとうございます。」
- 「先日のイベントを子どもがとても楽しんでいました。」
といった感謝や励ましの声も気軽に送ってもらいやすくなります。
こうした声は、職員にとって日々の励みにもなります。
ご意見やご要望だけでなく、前向きな声も受け取れるフォームにしておくことが、長く運用しやすい仕組みづくりにつながります。
コピーしてすぐ使える!ご意見・ご要望フォームのサンプル
ここまで、入力しやすく、集計しやすいフォームの作り方をご紹介してきました。
「内容は分かったけれど、自分で一から作るのは少し大変そう…」
そんな方のために、放課後デイ向けの「ご意見・ご要望フォーム」のサンプルをご用意しました。
以下のリンクから、ご自身のGoogleドライブにコピーして、そのままお使いいただけます。
※ボタンをクリックすると別タブで「コピーを作成」の画面が表示されます。
「コピーを作成」をクリックすると、ご自身のGoogleドライブに保存されます。
サンプルをコピーした後に確認したい2つのポイント
コピーしたフォームは、そのままでも利用できますが、保護者へ案内する前に次の2点を確認しておきましょう。
① 施設名を変更する
説明欄の1行目には、「放課後等デイサービス ○○○○」と入力しています。
ご自身の事業所名に変更してからご利用ください。
なお、フォームタイトルは、スマホでも見やすい長さを意識しています。タイトルを変更する場合は、長くしすぎるとスマホでは表示が見づらくなることがあるため、ご注意ください。
② 必要に応じて説明文を調整する
カテゴリ名はそのままでも、説明文は事業所の運営方法に合わせて変更できます。
例えば、
- 送迎を実施していない
- 連絡帳ではなく連絡アプリを利用している
といった場合は、説明文の内容を実際の運用に合わせて変更してください。
ここまで設定できたら、フォームの準備は完了です。
次は、回答を自動で保存するための「Googleスプレッドシートとの連携」を設定していきましょう。
届いたご意見をリアルタイムで確認する「スプレッドシート連携」
サンプルフォームをご自身のGoogleドライブにコピーし、施設名の変更が終わったら、最後にGoogleスプレッドシートとの連携を設定しましょう。
この設定をしておくと、保護者がフォームから送信した内容が、自動でスプレッドシートに保存されるようになります。
設定は数クリックで完了しますので、画面を見ながら一緒に進めていきましょう。
スプレッドシートへ連携する2ステップ
「回答」タブを開き、「スプレッドシートにリンク」アイコンをクリックする
Googleフォームの編集画面で、上部の「回答」タブをクリックします。
画面右上に表示される緑色の「スプレッドシートにリンク」アイコンをクリックしてください。

「新しいスプレッドシートを作成」を選び、「作成」をクリックする
表示された画面で、「新しいスプレッドシートを作成」が選択されていることを確認し、「作成」をクリックします。
作成したスプレッドシートは、初期状態ではフォームと同じ名前になります。
後から見分けやすいように、「ご意見一覧」など、分かりやすい名前に変更しておくのもおすすめです。
新しい回答が届いたらメールで通知を受け取る設定
スプレッドシートとの連携が終わったら、最後に設定しておきたいのが「メール通知」です。
メール通知を設定しておくと、新しい回答があったことをすぐに確認できます。
設定は数クリックで終わるので、このタイミングで済ませておきましょう。
- 先ほどの「回答」タブで、緑色のスプレッドシートアイコンの右隣にある3点リーダー(縦にドットが3つ並んだマーク)をクリックします。
- 表示されたメニューから「新しい回答についてのメール通知を受け取る」をクリックし、左下に「メール通知は有効になっています」と表示されれば設定完了です。
これで、保護者がフォームを送信すると、新しい回答があったことをGoogleアカウントのメールで確認できるようになります。
フォームを毎日開いて確認する必要がなくなるため、見落とし防止にも役立ちます。
スプレッドシートと連携するとどうなる?
設定が完了すると、Googleドライブ内にスプレッドシートが作成されます。
今後は、保護者がフォームからご意見・ご要望を送信すると、自動でスプレッドシートへ記録されます。
- 送信日時(タイムスタンプ)が自動で記録される
- 「お名前」「ご意見・ご要望のカテゴリ」「具体的なご意見・ご要望」が1行ずつ追加される
- 回答を手入力で転記する必要がない
紙のアンケートのように、回収したご意見・ご要望をExcelへ転記する作業は不要になります。
また、今回ご紹介した3項目の構成であれば、データが縦に並ぶため、一覧として確認しやすく、後から集計する際にも扱いやすくなります。
これで、保護者から届いたご意見・ご要望を、スプレッドシートでいつでも確認できる環境が整いました。
まとめ
保護者が意見や要望を送りやすく、管理者も確認・集計しやすい「ご意見・ご要望フォーム」の土台が完成しました。
最後に、今回設定した内容を振り返ってみましょう。
- サンプルフォームのコピー:サンプルフォームをコピーして、自施設用のフォームを作成
- スプレッドシートとの連携:送信されたご意見・ご要望を自動で蓄積
- メール通知の設定:新しい回答が届いたことをメールですぐに確認
これで、紙のアンケートを回収してExcelへ入力し直す作業は不要になります。また、新しい回答もメールで確認できるため、見落とし防止にも役立ちます。
シンプルな仕組みですが、日々の業務負担を減らしながら、保護者の声を継続して集められる環境づくりにつながります。
フォームを作成したら、次は集計・分析です。後編では、Googleスプレッドシートでご意見・ご要望をカテゴリ別に自動集計し、施設運営に活かす方法をご紹介します。

