放課後等デイサービスの運営では、日々の記録作成や国保連請求など、さまざまな事務作業があります。
「クラウドシステムを導入したほうが便利かもしれない」と思い、サービスを比較している方も多いのではないでしょうか。
ただ、実際に料金を見てみると、月額1万〜3万円前後のサービスが多いです。
福祉の現場感覚では、
- 「毎月数万円は高い…」
- 「本当に元が取れるの?」
と感じることもあると思います。
ただ、元SEという立場から見ると、現在のクラウドサービスは、システム導入費用としては比較的導入しやすい価格帯になっていると感じました。
この記事では、放課後デイ向けクラウドシステムの費用相場や、月額費用は本当に高いのかについて、システム開発の視点も交えながら解説します。
放課後デイ向けクラウドシステムの費用相場はどれくらい?
放課後デイ向けのクラウドシステムを導入する際、一番気になるのが「毎月どれくらい費用がかかるのか?」ではないでしょうか。
現在の費用相場は月額10,000円〜30,000円程度です。
システムを提供する会社や、契約するプラン(拠点数・利用機能の範囲)によって金額は変わりますが、おおよその費用感と、月額以外に見落としがちなコストをまとめると以下のようになります。
| 費用の種類 | 費用の相場 | 内容・特徴 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円〜50,000円 | アカウント発行や初期設定サポートの費用です。最近は「初期費用0円」のシステムも増えています。 |
| 月額費用 | 10,000円〜30,000円 | 毎月かかる基本料金です。拠点数や利用機能によって変動します。 |
システム利用料とは別に、現場で連絡帳や日報を入力するための「タブレット・iPad・PCの購入費用」が必要になるケースがあります。
既存の端末をそのまま使える場合もあるため、導入前に対応端末を確認しておくと安心です。
月額3万円は本当に高い?クラウド以前のシステム事情を解説
「月額3万円」と聞くと、少し高く感じるかもしれません。
特に、無料や月額数千円で使えるサービスに慣れていると、「毎月3万円の固定費」は決して小さな金額ではありません。
しかし、クラウドが普及する前のシステム導入にかかっていたコストや手間を知ると、この金額に対する見方も変わってくると思います。
実際、ひと昔前は、サーバーの購入やシステムの個別開発、保守・障害対応などが必要で、システムを導入するには多くの費用と手間がかかっていました。
ここでは、クラウドが普及する前のシステム運用について、簡単に紹介します。
昔はシステムを「オーダーメイド」で作っていた
今のように、月額料金を支払えばすぐに利用できるクラウドサービス(SaaS)が普及する前は、多くの企業が自社専用のシステムを開発していました。
ログイン機能やデータ保存、画面の作成なども一つひとつ開発する必要があり、開発期間は数か月から1年以上になることもありました。そのため、費用も数百万円〜数千万円規模になるケースが珍しくありませんでした。
しかし、システムは完成すれば終わりではありません。
・OS更新による不具合対応
・サーバーや機器の故障対応
・法改正に伴う修正
・機能追加や設定変更
など、継続的な保守費用がかかり、対応できる技術者も必要でした。
また、オーダーメイドのシステムは「その会社専用」のため、少し仕様を変更するだけでも追加費用が発生しやすい構造でした。
昔のシステム導入は、「家を建てて、その後も維持し続ける」ようなイメージです。
それに比べると、現在のクラウドシステムは、
・サーバー管理が不要
・自動アップデートに対応
・法改正にも継続的に対応
・月額制ですぐに利用開始できる
と、以前に比べて導入のハードルが大きく下がりました。
今、自社専用のシステムを作るといくらかかる?
「月額3万円が高いなら、自社専用のシステムを作ればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実際にゼロから開発する場合、シンプルな業務システムでも初期費用300万〜500万円程度、機能が増えれば1,000万円を超えることも珍しくありません。
システム開発費の大部分を占めるのは、エンジニアの人件費です。現在は人件費も高く、数人のチームが数か月開発するだけで数百万円規模になります。
さらに、完成後も費用は続きます。
- サーバー利用料
- 保守・メンテナンス費
- 法改正への対応
- 不具合修正
など、継続的な維持コストが必要です。
一般的には、保守費用だけでも「初期開発費の10〜20%(年額)」がかかると言われています。
例えば、500万円で開発した場合、年間50万〜100万円程度の維持費が発生します。
それに対し、月額3万円のクラウドサービスは年間36万円です。
初期費用だけでも、10年以上利用できる計算になります。
もちろん、クラウドサービスにも月額料金はかかりますが、サーバーの管理や保守、法改正への対応などが含まれていることを考えると、以前と比べて導入しやすい仕組みになっていると言えるでしょう。
| 項目 | 自社専用システムを開発 | クラウドシステム |
|---|---|---|
| 初期費用 | 300万円〜数千万円 | 0円〜数万円 |
| 導入期間 | 数か月〜1年以上 | 最短即日 |
| 維持費 | 保守・サーバー費が必要 | 月1〜3万円前後 |
| 法改正対応 | 個別改修が必要 | 自動アップデート対応 |
| トラブル対応 | 自社または開発会社対応 | サービス会社が対応 |
もちろん、自社専用システムには「自社に完全最適化できる」というメリットがあります。
ただ、多くの事業所では、法改正への対応や保守まで含まれているクラウドサービスのほうが、導入しやすく、運用もしやすいでしょう。
まとめ
「月額3万円」と聞くと、高く感じる方もいるかもしれません。
しかし、クラウド以前のシステム事情や、現在の自社開発にかかる費用を知ると、その見方も変わってくるのではないでしょうか。
今回のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 以前のシステムは、数百万円規模の初期費用が必要だった
- 自社開発を行う場合、現在でも数百万円〜1,000万円以上かかるケースがある
- 完成後も、保守・法改正対応・サーバー管理など継続的な負担が発生する
- クラウドシステムは、これらを月額制で利用できる仕組みになっている
- 自社開発のように長い開発期間が不要で、最短即日から利用できるサービスも多い
もちろん、事業所の規模や運営方針によって、必要なシステムは異なります。
ただ、事務作業の負担を減らし、療育や支援に集中できる環境を整えたいのであれば、クラウドシステムは有力な選択肢の一つです。
月額費用だけで判断するのではなく、導入後にどれだけ業務の負担を減らせるのかという視点でも、ぜひ比較してみてください。

