放課後等デイサービスの現場は、子どもたちの成長を支える一方で、裏では膨大な書類業務に追われ、時間がいくらあっても足りないと感じている現場も多いのではないでしょうか。
例えば、
- 同じ内容を何度も書き写す
- 複雑な法改正への対応
- 実地指導(監査)への不安
こうした課題を解消し、現場の負担軽減につながるのがクラウドサービスです。
私はこれまで、SEとして事務処理系システムの構築や業務効率化に携わってきました。
本シリーズでは、SEの視点から、放課後デイにおすすめしたい3つのクラウドサービスを紹介します。
業務効率化という観点からも、クラウドサービスはぜひ取り入れていただきたい仕組みです。
第1回では、放課後デイの現場業務そのものがシステム化されている『HUG(ハグ)』を取り上げます。
私がクラウドサービスを選定する立場なら、いちおしは『HUG(ハグ)』です。
- 【第1回】HUG(ハグ)(この記事)
- 【第2回】コノベル
- 【第3回】カイポケ児発・放デイ
HUG(ハグ)とは
HUG(ハグ)は、放課後デイ・児童発達支援向けに特化したクラウドサービスです。
記録、計画書、請求など、放課後デイの運営に必要な機能がひと通り揃っています。
HUGは、現場目線で業務の流れをかなり研究して作られているシステムだと思いました。
特に、画面構成や機能の配置を見ると、UIはかなり考えて設計されている印象があります。
システムって、ただ機能が多いだけではダメなんですよね。
実際には、「どこを押せばいいか分からない」「入力画面が複雑」といった小さなストレスの積み重ねが、現場で使われなくなる原因になります。
その点、HUGは“現場で使い続けること”をかなり意識して作られているように思います。
UIは「ユーザーインターフェース(User Interface)」の略です。
簡単に言うと、ユーザーが実際に目にして操作する画面や見た目のことです。
具体的には、
- ボタンの配置
- メニューの見やすさ
- 入力画面のわかりやすさ
- 色や文字の見やすさ
- どこを押せば次に進めるか
こういったものが全部がUIです。
HUG(ハグ)のここがいい!
SE目線で見て、他のクラウドサービスと比べて「いいな」と思った機能を紹介します。
保護者への連携機能が優秀
HUGには、保護者専用のマイページが用意されています。
送迎時間や活動内容など、その日の予定をマイページ上で分かりやすく確認できます。
また、入退室や送迎連絡もメールで自動通知されるため、保護者にとっても安心感につながる仕組みだと思います。
利用予定の登録や、欠席・遅刻の連絡もマイページ上で完結します。
「利用予定の登録はWEB、連絡はLINEまたは電話」といった形で連絡手段が増えすぎないのは、保護者側にとっても分かりやすいと思います。
さらに、日々の連絡帳に活動写真を掲載できるだけでなく、それとは別に「活動の記録」として保護者へ共有できる機能もあります。
施設を利用するのは子供ですが、「この施設に通わせたい」と判断するのは保護者です。
そのため、保護者向け機能が充実しているかはかなり重要なポイントだと思っています。
保護者との連携機能がしっかりしていることは、保護者から選ばれる理由の一つになると思います。
脳バランサキッズとの連携による成長の可視化
HUGの「成長療育型」を支える大きな特徴のひとつが、発達指数を測定する「脳バランサキッズ」とのデータ連携です。
療育の成果を「なんとなく良くなった」という感覚だけではなく、数値やグラフといった客観的なデータで確認できます。
脳バランサキッズの結果はHUGへ自動連携され、保護者マイページからも確認できるようになっています。
なお、「脳バランサキッズ」はHUG本体とは別サービスのため、別途月額利用料が必要になります。
保護者にとって、「施設に通わせてどれだけ成長したか」はかなり重要なポイントです。
成長療育の結果を数値やグラフで見られることで、日々の活動の効果を保護者も実感しやすい仕組みだと思います。
特許取得の加算要件チェック
利用予定人数に応じた適切な人員配置を、かんたんな操作で出勤表として作成できます。
この人員配置の仕組み、かなり高度で、なんと特許まで取得しています。
また、基準を満たしていない場合はアラートで知らせてくれます。
実地指導(監査)で特に怖いのは、人員基準の不足などによる給付費の返還です。
適切な人員配置をサポートしてくれることで、こうしたリスクの軽減にもつながると思います。
適切な人員配置の出勤表を作る作業は、施設にとって絶対にミスできないところです。
しかも、利用予定や加算要件を確認しながら作成する必要があるため、かなり時間がかかります。
それを、かんたんな操作でミスを減らしながら作成できるのは大きなポイントだと思います。
マウス操作で完結する送迎組み画面
毎日発生する、パズルのような「送迎ルート作成」を、直感的な操作で作成できます。
これまでホワイトボードやExcelで行っていた送迎の割り当ても、画面上のマウス操作だけで完結します。
車両の空き状況やルートの重複もひと目で分かるため、誰が作っても同じような形で完成できるのがポイントだと思います。
送迎を行う施設では、送迎組みは毎日欠かせない作業です。
HUGは、ホワイトボード上でマグネットを動かすような感覚で、マウス操作だけで入れ替えできるところがとてもいいです。
HUG(ハグ)が向いている事業所・向いていない事業所
HUGの導入を検討するうえで、やはり気になるのがコスト面です。
HUGの月額利用料は、他のクラウド型サービスと比べるとやや高めの設定になっています。
しかし、SEの視点で見れば、これだけ多機能なシステムを月額約3万円で運用できるのは、かなり破格だと思います。
実際、自社で同等レベルのシステムを開発・保守しようとすると、とてもこの金額では収まりません。
記録、請求、計画書、保護者連携、送迎管理までひとつのシステムにまとまっていることを考えると、SE目線ではかなりコスパは良いです。
とはいえ、毎月発生する固定費であることには変わりありません。
そのため、事業所によっては「便利だけどオーバースペック」と感じるケースもあると思います。
そこで、HUGが向いている事業所と、逆に合わない可能性がある事業所について整理してみます。
向いている事業所
HUGの強みをしっかり活かせて、月額コスト以上のメリットを得やすいのは、次のような事業所です。
「成長療育」を強みにしたい事業所
「預かるだけ」ではなく、子どもの成長をしっかり保護者へ伝えていきたい事業所には、HUGはかなり相性が良いと思います。
脳バランサキッズとの連携によって、「なんとなく成長した」ではなく、数値やグラフで変化を可視化できるのは大きな強みです。
保護者にとっても、子どもの成長が見えることは安心感につながりますし、施設選びの判断材料にもなります。
成長療育を施設の強みにしていきたい事業所にとって、HUGはかなり心強いシステムです。
保護者の満足度を圧倒的に高めたい事業所
実際に施設を選ぶのは保護者です。
そのため、保護者にとって「使いやすい」「安心できる」システムがあることは、施設の大きな強みになると思います。
連絡帳や活動記録、送迎連絡などが分かりやすくまとまっていることで、保護者としてもかなり安心しやすくなると思います。
すでに何らかのクラウドサービスを利用している事業所
すでに勤怠管理や連絡ツールなど、何らかのクラウドサービスを利用している事業所にもHUGは向いています。
ある程度デジタル化に慣れている現場であれば、HUGの多機能さにも比較的スムーズに対応しやすいです。
一度運用が定着すると、転記作業や確認作業はかなり減らせると思います。
利用者が多く、事務効率化が急務な事業所
利用者数に比例して、連絡帳や加算チェックなどの事務作業は膨れ上がります。
特に利用者が多い事業所ほど、「送迎調整」「記録」「請求」の負担が一気に重くなります。
逆に言えば、利用者数が多いほど、HUGによる効率化の恩恵も大きくなります。
いわゆる「スケールメリット(規模の利益)」が出やすいシステムです。
スタッフの残業時間や事務負担を減らせる割合も大きくなるため、月額3万円を「優秀な事務スタッフを一人雇うコスト」と考えれば、むしろ安上がりだと思います。
実地指導(監査)への不安を減らしたい事業所
実地指導(監査)で特に怖いのが、人員配置や加算要件のミスによる返還リスクです。
HUGには、特許取得の「加算要件チェック」機能があり、基準を満たしていない場合はアラートで知らせてくれます。
人的ミスを防ぎやすくなるため、返還リスクの軽減にもつながると思います。
大規模・複数拠点で運営している事業所
事業所の人数や拠点数が増えるほど、「誰が更新したのか」「どこまで閲覧できるのか」といった情報管理が重要になります。
HUGは、権限設定や更新履歴の管理もしっかりしているため、大規模運営とも相性が良さそうです。
また、複数拠点での運営にも対応しやすく、情報共有や管理を一元化しやすい点も大きなメリットだと思います。
向いていない事業所
多機能で強力なHUGですが、事業所の規模や運営スタイルによっては、オーバースペックになってしまうケースもあります。
完全なアナログ(紙・Excel)で業務を行っている事業所
クラウドサービスに慣れていない事業所の場合、いきなりHUGの機能をすべて使いこなすのは簡単ではないと思います。
初期設定や運用ルール作りにも、ある程度時間がかかります。
毎月コストが発生するため、「少しずつ慣れていこう」という使い方だと、費用対効果が合わなくなる可能性もあります。
「請求機能」など、シンプルな機能だけで十分な事業所
療育の可視化や保護者連携、送迎管理などを必要とせず、「国保連請求だけできれば十分」という事業所には、HUGはやや高機能すぎるかもしれません。
利用者が少なく、コストを吸収しきれない事業所
利用者が数名程度の小規模事業所や立ち上げ初期の段階では、月額3万円の固定費が負担になる可能性があります。
利用者数が少ないうちは、HUGの強みである「業務効率化」の恩恵もまだ小さくなりやすいです。
まとめ
HUG(ハグ)は、単なる「請求ソフト」ではなく、放課後デイの現場業務そのものをシステム化することを目指したクラウドサービスだと思います。
特に、
- 保護者との連携機能
- 成長療育の可視化
- 加算要件チェック
- 送迎管理
などは、他サービスと比べてもかなり作り込まれている印象があります。
正直、ここまで現場の流れを意識して作られているシステムは、かなりよくできていると思います。
その分、月額コストは決して安くありません。
ただ、利用者数が多い事業所や、事務負担・残業を減らしたい事業所にとっては、十分元が取れるシステムだと思います。
特に、「保護者に選ばれる施設づくり」を重視したい事業所とはかなり相性が良さそうです。
逆に、小規模でシンプルな運用をしている事業所や、まだ紙運用が中心の事業所では、機能を持て余してしまう可能性もあります。
とはいえ、SE目線で見ると、HUGはかなり完成度の高いクラウドサービスです。
もし私が放課後デイ向けクラウドを選定する立場なら、最初にまず検討したいサービスの一つです。


※本記事はHUG(ハグ)公式サイト・資料をもとに作成しています。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
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